デモツアー2日目の最後を飾るのは、問題の「湯本女将さん奮闘記」だ。
昨年春、湯本温泉の女将さん会が紙芝居の里プロジェクトに取り組もうと決めた後、
ならばと制作したのが奮闘記だった。
当初の奮闘記は原発作業員、放射能汚染、放射能による差別問題などが
今、福島にある色々な問題をドンと盛り込んだ。
しかし、これがいけなかった。女将さんたちにドン引きされたのである。
冷静になって思えば無理のないところである。
観光の拠点となる温泉宿は日ごろの疲れ、観光地めぐりの疲れを癒す場だ。
ゆったりと温泉に入り、おいしい食事に舌鼓を打つ、
それが温泉旅館のあるべき姿だろう。
それに対しどうやどうやとばかりに放射能のことを持ち込むのはデリカシーのない事だ。
しかし、その一方で湯本温泉の直面する問題、
福島がかかえる問題を知りたくって訪れる人々の要求にどうこたえるかも無視できない課題である。
そこでシナリオを大幅にリメイクし、
これならどうでしょうとばかりにお届けしたのが、新 湯本温泉女将さん奮闘記だ。
これに対し、見る側がどうだったのか演じる側がどうだったのか、
アンケートを見ていないのでここでは紹介できないが、演者が四人、
音響や効果音、イメージソングも用意しての上演に
少なくともこの日の4人には受け入れられたのだと思った次第である。